フルマラソンへの道 その11

 

初のハーフマラソンで15キロから歩いてしまった私は、どんどん人に抜かれるという感覚を恐らく初めて味わった。

10キロレースに出たときは最初は押さえ気味で入り、後半に残った余力を爆発させて最後まで上り調子で走りきった。

 

しかし今はハーフマラソンの最中で、そして私は歩いている。

その現実を受け入れることは到底出来なかった。

 

「やはりあんな練習ではダメだったか…」

 

とにかく足全体、特に太ももがパンパンに張って走るどころか歩くことさえも痛い。

「これがハーフマラソンというものか」その悔しさの中でもとにかくゴール目指して前に進まなくてはならない。

 

私は時々走ろうとはしながらも少しするとまた歩く…こんなことを繰り返しながら何とかゴールのある競技場に近づいてきた。

ゴールラインのある競技場の中に入ってまで、歩くことほど恥ずかしいことは無い。とにかく痛い足を引きずりながらハーフマラソンのゴールに着いた。

1時間40分位だろうと考えていたタイムはなんと、1時間59分11秒。

 

あまりにも情けない現実に私はその場でうなだれた。

 

 

初めてのハーフマラソンを思いっきり歩いてしまった私は、その後の練習ペースがやや鈍ってきた。

というのもその頃、ちょうど仕事が忙しくなり本来の営業の仕事と総務の仕事を掛け持つようになったからだ。

 

午前中は社内で労務の設定をして、そのままISOの打ち合わせ。午後からは営業のアポイントを取り他の社員の仕事をチェックする。

そして夕方からは営業でお客さんの所を回り、見積り作成や契約実務処理は夜中にかけて行なう。そんな毎日を過ごしていると練習など出来たものではない。

 

結局月70~80km位しか走れないまま、2度目のハーフマラソンを10月の札幌マラソンへと決めた。

前月からは15キロの練習を増やしてみたもののペースは相変わらずキロ5分ペース。

 

もう少しゆっくりペースやスピード練習をしておけばと、今なら思えるがその頃はそれしか出来なかった。

マラソンに関しては何の知識もないし仲間も居ない。

 

そして、今ひとつ不安を抱えながら2度目のハーフマラソン

「札幌マラソン」

そのスタートラインに立った。

 

 

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