フルマラソンへの道 その19

 

人生初のフルマラソンがスタートして、最初に待っていたのは「寒さ」だった。

 

気温は約5℃

 

その寒さため前回のレースで憶えた「マイペースを守る」ということが不可能となっていた。肌に突き刺さる寒さが体の全ての感覚を失わせていた。

そのせいもあり、体を温めようとして予定していた「キロ5分ちょっと」というペースも守れず、完全なオーバーペースになっていた。

 

このレースは、最初に2.195kmを走り、その後に10キロの周回コースを4週するという非常に精神力を問われる大会でもあった。

その最初の12.195kmを58分29秒で通過。10キロあたりにするとなんと47分57秒。

 

「完全なハーフペースだ!」

 

そう気が付いた時は遅かった。もうここまで来たら、行くとこまで行くしかない。

そう、心に決めた後の22.195km地点は1時間46分(48分30秒)。ハーフなら1時間41分台。

 

何故かこんなところでハーフの自己ベストを更新し、私は完全におかしくなっていた。

「もうこうなれば本当に行くしかない」

私はひたすら全力で走り続けた。

 

初のフルマラソンでハーフの自己ベストを更新して、そのまま突っ走っていたが25キロから太ももが痛くなり、30キロにはふくらはぎが痛くなり確実にペースは落ちていた。

次の関門の32.195kmは2時間46分で通過したものの、20~30キロのラップは59分45秒。キロ5分どころか、あっという間にキロ6分ペースにまで落ちていた。

 

こうなるとその先は落ちるだけ。35キロには足のすね、40キロにはなぜか肩と腕がパンパンに張ってきた。

すでにその時、私は歩いていた。正確に言うと35キロくらいからはほとんど歩いていた。今まで上半身が痛くなったことなどなかったし、私の人生の中でもこんな痛みは初めてだったろう。

『フルマラソン』を甘く見るとこうなるのか…

 

ゴールタイム 4時間11分

 

これが私の初フルマラソンの結果だった。

ゴール後もしばらく動けず運転できる状態じゃなかったため、車の中で眠れぬ痛みの中しばらく横になっていた。レース前に4時間30分くらい…と考えていたこともすっかり忘れて、痛みと悔しさで泣きそうになっていた。

 

 

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