フルマラソンへの道 その27

 

スタートラインからまだ500mほどしか進んでないのに、すでに5キロ地点での関門タイムの心配をしなければならないなんて…

「恐るべし北海道マラソン」

そんな泣き言を言っている間にも、関門タイムは刻々と迫ってきている。

 

何とか公園の中から一般道に出た瞬間、ほとんどのランナーが全力に近い速度でダッシュし始めた。まだ1キロ地点にも達していないというのに。

予想した通り残りの時間と距離を考えると、とにかくダッシュしなければ5キロの関門に引っ掛ってしまう。特に最後尾からスタートした私は、相当不利な立場であることは間違いない。

 

周りの人たち同様、私はこの時点で「ハァハァ」という10キロレース並みの心拍数で5キロ地点を目指した。周りの景色など全く見えないほど我々はダッシュして、ようやく5キロ地点の看板を通り過ぎたようだった。

「やっとこのダッシュから開放される…」

5キロ地点を過ぎると周りも急にペースが落ちた。さっきまでキロ4分ちょっとくらいのペースで走ってたのに、いきなりキロ5分くらいまで落ちた。

 

これからは、とりあえずキロ5分ペースで行けるところまで行こう、と考えながら本当の意味での北海道マラソンは5キロ地点から始まった。

5キロの関門を通過した私は徐々に本来のペースを取り戻し、やっと自分が平岸街道を走っていることに気が付いた。それからすすきのを通過して駅前通りを走り、三越前でしっかりと給水をとり、右折して創成川通りを北に向かい北24条通りへと走り抜けた。

 

15km地点でも、まだキロ5分ペースを維持していたので「ひょっとして4時間を切るどころか3時間40分も…」と思っていた頃、対向車線に一際凄まじい歓声が聞こえた。

「おっ!千葉ちゃんだ」

私は同じコースを走るランナーでありながら、千葉真子の走りに見とれていた。

 

 

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