初めてのレースでスタートを切った私は、まず自分のペースでしっかりと完走することを心がけた。
大会の3日前に唯一走った10kmのタイムは49分37秒。と言うことは今大会の目標を49分以内くらいに考えて、5kmを24分前半で通過出来ればいいかな…と思っていた。
スタートはかなりの人数だったので正直言って自分のペースを確保するのは至難の業だ。しかし、そんなことを考えているうちに既に5km通過の看板が見えてきた。
「えっ!もう5kmなの?」
自分でもあっという間だったのでビックリしたが、時計を見るとなんと23分半くらい。おっと、このままのペースだと間違いなく自己ベストを更新してしまう。
「果たしてこのペースで最後まで持つのか?」
そう考えた私はなかなかペースを上げられなかった。しかし、記録は出したい。そんなジレンマに襲われながらもとりあえずそのままのペースを守った。
そして遂にゴールは近づいた。
競技場の中に入ると目の前に見えるのは大きなゴールゲートと時計表示。私は残り100mを全力で走った。
足はまだまだ全然軽かった。あと10m、あと5m…
「やったー!無事にゴールできた」
タイムは47分37秒。
初レースなのに練習で出した事がないタイムを出した。
「なんて気持ちいいんだぁ!」
このゴールゲートをくぐるのが少し快感だった。
「また走りたい」
ただそう思った初レースだった。
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