トライアスロンへの道 その26

 

バイクからランへの着替えを終える頃にはバイクの制限時間が過ぎていたため、その後にゴールする選手はその場でレースが終わることになる。そんな選手たちが次々とうなだれて到着するとちょっと切ない気持ちになる。

しかし、私には人のことを心配している余裕はない。バイクをギリギリでゴールしたということは、ゴールまでの制限時間もハッキリしている。

着替えの時間を考慮するとランの41.8kmを5時間以内で走らないと危なくなる。もちろん、途中3ヶ所ほどの関門があるのだが例によって私は把握してなかったので、とにかく周りの選手を見ながらエイド毎に次の関門時間を確認しなくてはならない。

 

ランのスタートからやはり膝裏にはピリピリとした痛みがあった。何とか走れるレベルではあるが、普段のマラソン大会のようなペースではとても走れない。

残り時間から計算するとキロ7分を超えないようなペースで走らなくてはならないので、2ヶ月前に走ったウルトラマラソンでの走りを思い出しながら、とにかく前に進むしかない。序盤はトランジットで一緒だったF先生と並走して走っていたが、膝裏の痛みは徐々にその度合いを増していた。

 

途中でバイクの制限時間に間に合わなかった知り合いの選手が応援に来てくれていた。私もF先生も何とか笑顔で答えてはいたが、内心は「もう止めたい」という気持ちだったろう。

しかし前にも後ろにも完走を目指す選手がいるので、とにかく「歩いてはいけない」という気持ちだけをしっかり持って、途中にあるエイドだけを楽しみにするしかなかった。

ランコースはバイクで来た道を折り返す道路になるので、バイクで走ってきた上り下りのイメージを想像するとちょっと嫌だった。しかし、序盤はほとんど平らな道だったのでこれなら何とかなるかな、という気持ちで前に進んだ。

 

バイクではコース上に10ヶ所のエイドがあったが、ランでは本エイドが7ヶ所と簡易エイドが7ヶ所あるらしい。ランをスタートする前に少しお腹に入る物を食べておいたので、あまりお腹が空く様子はない。

しかし、バイクゴールしたのが15時過ぎで制限時間の20時30分まで走ることを考えると、要所要所でとにかく食べなくてはならない。あまり食欲はなかったが、序盤のエイドでは無理矢理何か食べるようにした。

 

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