トライアスロンへの道 第8話 大会に出る宣言

トライアスロンへの道

2005年の春から、少しずつトライアスロンの練習を始めていた。

最初から本格的にやろうと思っていたわけではない。

ランニングはもともとやっていたので、それなりに走れる。

むしろ、トライアスロンの練習を始めてから、ランニングの力は少しずつ付いてきた。

40km走ではハンガーノックになりながらも何とか走り切り、その後のハーフマラソンでは自己ベストを4分も更新した。

「意外と、やればできるのかもしれない」

そんな気持ちも出てきた。

自転車も最初はトライアスロン軍団についていくのが精一杯だった。

何度も吐きそうになった。

練習から帰ってきて、シャワーも浴びずに眠ったこともある。

それでも、何度か一緒に走っているうちに、少しずつロードバイクにも慣れてきた。

ペダルを回す。

ギアを変える。

坂道を上る。

下る。

最初は何も分からなかったのに、少しずつ自転車に乗ることが普通になってきた。

ランとバイク。

この二つについては、何となく先が見えてきた。

問題は――

水泳だった。

相変わらず泳げない。

25mが泳げない。

いや、正確には25mを足を着かずに泳ぎ切ることができない。

トライアスロンを目指すと言いながら、最大の種目である水泳がまったく進んでいない。

そんな状態だった。

ところが、ある日のこと。

いつものようにトライアスロン軍団の練習が終わり、みんなで飲みに行くことになった。

これがいけなかった。

お酒が入ると、人間は少し気が大きくなる。

いや、私の場合は、周りの勢いに押されると断れなくなるという問題があった。

「今年のオロロントライアスロンに出ましょうよ」

「いやいや、まだ無理ですよ」

「大丈夫、大丈夫!」

「いや、水泳が……」

「練習すれば泳げますって!」

そんな話をしているうちに、周りはどんどん盛り上がっていく。

そして気がつけば、

「じゃあ、出ます」

と言ってしまった。

……言ってしまった。

いや。

今思えば、

言わされた。

(笑)

大会は2005年のオロロンライントライアスロン。

しかも、その大会まで――

あと3か月。

「……3か月?」

冷静になってから、私は気づいた。

俺、まだ泳げないぞ。

25mも泳げない男が、トライアスロン大会に出る。

しかも大会は、ランニングだけの大会ではない。

水泳がある。

自転車がある。

そして最後にランニングがある。

ランは何とかなる。

自転車も、ようやく練習についていけるようになってきた。

でも、水泳だけはどうにもならない。

そこで私は、久しぶりに市民プールへ行ってみた。

以前、体験会の前にも何度か練習した。

Yさんからもらった本を読みながら、自己流で泳いでみた。

それでも25mは泳げなかった。

そして今回も――

やっぱり泳げない。

何とか進む。

苦しくなる。

立つ。

また泳ぐ。

そして、また立つ。

「……これで大会に出るの?」

自分でも意味が分からなかった。

トライアスロン大会まで、あと3か月。

自転車には多少乗れるようになった。

ランニングは力が付いてきた。

しかし私は、

25mも泳げない。

普通に考えれば、ここで諦めるところだろう。

というより、普通の人なら最初から大会に申し込まない。

でも、もう出ると言ってしまった。

いや、言わされてしまった。

こうなったら、やるしかない。

私はまだ知らなかった。

この「飲み会での一言」が、自分の人生で初めての本格的なトライアスロン大会への入口になることを。

そして、この時点ではまだ、

自分が200kmの自転車とフルマラソンまで走ることになるなんて、夢にも思っていなかった。

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