スイミングスクールに通い始めて、少しずつ泳ぎ方を覚えてきた。
とはいっても、まだ「泳げるようになった」とは、とても言えない。
そこで、実際の大会を一度経験してみることにした。
前年秋にも体験イベントには出たが、今回は市民トライアスロン大会。
これなら初心者もたくさんいるだろう。
そんなことを、勝手に思っていた。
ところが、会場に行ってみると、どうも様子が違う。
周りを見ると、みんな普通に大会に慣れているように見える。
準備も手際がいい。
バイクもちゃんとしている。
そして、いよいよスイムが始まった。
最初の25メートルだけは、足を着かなかった。
これは自分でも「おっ、泳げた」と思った。
ところが、その後はひどい惨状だった。
25メートルを泳いでは苦しくなり、足を着く。
少し進んでは、また足を着く。
泳いでいる時間より、立っている時間のほうが長かったのではないかと思うほどだった。
周りの人たちは、普通に泳いでいく。
私は、その後ろを必死についていく……というより、そもそもついていけない。
結局、プールでは断トツの最下位。
自分がこんな状態で大会に出ていることを後悔したが、この情けない現状を受け入れるしかなかった。
それでも、なんとかスイムを終えた。
プールを出ると、今度はバイク。
すでに先に泳ぎ終えた人たちは、バイクで周回している。
私は時間差でしばらく後にスタートする。
今回は、前年の体験イベントとは違う。
借り物のクロスバイクではない。
自分のバイク。
自分のシューズ。
自分のヘルメット。
少なくとも、格好だけはトライアスリートらしくなっていた。
バイクを走らせる。
速い人たちは、どんどん先へ行く。
私は私のペースで走る。
そして、バイクが終わればラン。
今回は距離も短い。
マラソンなら42.195キロを走るのだから、ここで少しは挽回できるかと思った。
……が、短い距離だからといって、急に速く走れるわけでもない。
それでも、無事にランまで終えることができた。
結果は、出場27人中26番目。
ほぼ最後である。
プールだけなら、断トツの最下位だった。
それでも、不思議と嫌な感じはしなかった。
前回の体験会は「もうコリゴリ」と思ったトライアスロンだったが、今回は自分の道具で出場し、スイムからバイク、そしてランへ移っていく大会の流れも、何となく分かった。
順位を見れば散々だった。
泳ぎも散々だった。
それでも、実際に大会を一つ経験したことで、少しだけトライアスロンが身近になった気がした。
27人中26番目。
このときの私は、まだそんな順位だった。
まさかこの数か月後に、この何倍もの長い距離の大会を完走するとは、このときはまだ知らなかった。
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