トライアスロンへの道 第28話 バイクゴール

トライアスロンへの道

幌延で折り返してから、さらに走った。

もう何km走ったのか、よく分からなくなっていた。

ただ、自転車のメーターだけは見ていた。

残りが少しずつ減っていく。

あと20kmほどになった。

「やっと、ここまで来たか……」

そう思った。

しかし、身体はもうほとんど空っぽだった。

何度も力がなくなった。

今思えば、ハンガーノックを何度も起こしていたのだと思う。

当時はそんなことも分からない。

ただ、

「何でこんなに力が出ないんだ?」

と思いながら、ペダルを回していた。

そして、この頃から左膝の裏が痛くなってきた。

チクチクする。

ペダルを回すたびに気になる。

それでも、自転車を降りるわけにはいかない。

あと20km。

20kmなら、走れる。

そう思うしかなかった。

いや、本当は、

「あと20kmもあるのか……」

だったのかもしれない。

身体のあちこちが痛い。

眠い。

風もまだ残っている。

それでも、まだ明るい。

午後だ。

道路も見えている。

だから、とにかく進む。

一回ペダルを回す。

また回す。

少し進む。

また回す。

それだけだった。

ようやく残り10km。

ここまで来ても、まだ安心できない。

何しろ、私はロングトライアスロンなど初めてなのだ。

しかも、バイクだけで200km。

このあとランニングが待っている。

42km近く。

「本当に走れるのか?」

何度もそう思った。

でも、今は考えても仕方がない。

まず自転車を終わらせる。

それだけだった。

そして、ようやくバイクのゴールが近づいてきた。

ゴール前のエイドだったと思う。

最後の補給をして、再び自転車に乗る。

ここまで来ると、さすがに周りの選手もほとんどいない。

一人で走っている。

自分の前にも、後ろにも、ほとんど人影がない。

「本当に俺、最後のほうなんだな」

そう思った。

やがて、バイクゴールが見えてきた。

時計を見る。

制限時間まで、もうそれほど余裕はない。

あと15分ほどだった。

何とか間に合った。

自転車を降りる。

200km以上走ってきた。

スタッフに自転車を渡す。

「終わった……」

そう思った。

でも、終わっていない。

ここからランだ。

バイクを終えたとき、仲間のF先生がいた。

顔を見た瞬間、

「ああ、まだ走らなきゃいけないんだ」

と思った。

自転車の上では、まだ自転車のことだけ考えていればよかった。

でも、これからは自分の脚で走らなければならない。

左膝の裏が痛い。

身体は重い。

そして、残された時間はそれほど多くない。

着替える。

ランニングシューズを履く。

そして、ランコースへ向かった。

ここから41.8km。

私は、まだ知らなかった。

この先のほうが、もっと長く感じることを。

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