幌延で折り返してから、さらに走った。
もう何km走ったのか、よく分からなくなっていた。
ただ、自転車のメーターだけは見ていた。
残りが少しずつ減っていく。
あと20kmほどになった。
「やっと、ここまで来たか……」
そう思った。
しかし、身体はもうほとんど空っぽだった。
何度も力がなくなった。
今思えば、ハンガーノックを何度も起こしていたのだと思う。
当時はそんなことも分からない。
ただ、
「何でこんなに力が出ないんだ?」
と思いながら、ペダルを回していた。
そして、この頃から左膝の裏が痛くなってきた。
チクチクする。
ペダルを回すたびに気になる。
それでも、自転車を降りるわけにはいかない。
あと20km。
20kmなら、走れる。
そう思うしかなかった。
いや、本当は、
「あと20kmもあるのか……」
だったのかもしれない。
身体のあちこちが痛い。
眠い。
風もまだ残っている。
それでも、まだ明るい。
午後だ。
道路も見えている。
だから、とにかく進む。
一回ペダルを回す。
また回す。
少し進む。
また回す。
それだけだった。
ようやく残り10km。
ここまで来ても、まだ安心できない。
何しろ、私はロングトライアスロンなど初めてなのだ。
しかも、バイクだけで200km。
このあとランニングが待っている。
42km近く。
「本当に走れるのか?」
何度もそう思った。
でも、今は考えても仕方がない。
まず自転車を終わらせる。
それだけだった。
そして、ようやくバイクのゴールが近づいてきた。
ゴール前のエイドだったと思う。
最後の補給をして、再び自転車に乗る。
ここまで来ると、さすがに周りの選手もほとんどいない。
一人で走っている。
自分の前にも、後ろにも、ほとんど人影がない。
「本当に俺、最後のほうなんだな」
そう思った。
やがて、バイクゴールが見えてきた。
時計を見る。
制限時間まで、もうそれほど余裕はない。
あと15分ほどだった。
何とか間に合った。
自転車を降りる。
200km以上走ってきた。
スタッフに自転車を渡す。
「終わった……」
そう思った。
でも、終わっていない。
ここからランだ。
バイクを終えたとき、仲間のF先生がいた。
顔を見た瞬間、
「ああ、まだ走らなきゃいけないんだ」
と思った。
自転車の上では、まだ自転車のことだけ考えていればよかった。
でも、これからは自分の脚で走らなければならない。
左膝の裏が痛い。
身体は重い。
そして、残された時間はそれほど多くない。
着替える。
ランニングシューズを履く。
そして、ランコースへ向かった。
ここから41.8km。
私は、まだ知らなかった。
この先のほうが、もっと長く感じることを。
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