フルマラソンへの道 その26 北海道マラソンスタート

フルマラソンへの道

30歳を過ぎて決意したダイエットがジョギングになり、そのままフルマラソンでサブ4を達成するまでの回顧録です。

いよいよ迎えた、人生初の北海道マラソン。

それまで走ってきた市民マラソンとは規模がまるで違う。スタートは真駒内公園、ゴールは中島公園。荷物はトラックで運ばれ、ゴール後に受け取る仕組みだった。

初めてづくしの私は、何もかもが不安だった。

荷物はちゃんと届くのか。

スタートまでどれくらい待つのか。

トイレは間に合うのか。

そして一番気になっていたのは、スタートロスだった。

当時のマラソン大会はウェーブスタートなど無く号砲からのタイムが基準だったため、最後尾付近からスタートすると関門時間が厳しくなる。

「本当に5kmの関門に間に合うのだろうか。」

そんな不安を抱えながら、私は荷物を預け、長い列の最後尾近くへ並んだ。

当日は小雨交じり。

気温は決して低くなかったが、ランニングシャツとランパンでじっと待っていると少し肌寒い。

やがて長蛇の列は、ゆっくりと真駒内競技場の中へ吸い込まれていった。

周囲を見渡すと、いかにも速そうなランナーばかり。

その雰囲気だけでも圧倒される。

私のゼッケン番号は4000番台。

並んだ位置もほぼ最後尾だった。

「ここまで来たら仕方ない。」

私は開き直って、その場で号砲を待つことにした。

そして、スタートの合図。

パン!

知事のピストルの音が競技場に響いた。

しかし、私のいる最後尾はまったく動かない。

前ではレースが始まっているのに、こちらはまだ立ったまま。

30秒ほどしてようやく集団が少しずつ動き始めたが、歩くような速度でしか進めない。

スタートラインを越えたのは、号砲から約1分半後。

「思ったよりは早かった。」

そう思ったのも束の間だった。

競技場を出ると、公園内の細い通路で再び大渋滞。

前へ進もうにも進めない。

立ち止まる人、つまずく人、苛立つ人。

憧れていた北海道マラソンのスタートは、想像とはまったく違う光景だった。

そして私は、あることに気付く。

「このままじゃ、5kmの関門に間に合わない。」

スタートして500メートルほどしか進んでいないのに、時計だけがどんどん進んでいく。

この時の私には、目の前の42.195kmよりも、まず最初の5km関門を突破できるかどうかの方が大問題だった。

前へ進んでくれ。

ただ、それだけを祈りながら私は人の流れに身を任せていた。

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