30歳を過ぎて決意したダイエットがジョギングになり、そのままフルマラソンでサブ4を達成するまでの回顧録です。
公園内の渋滞は、想像以上だった。
前へ進みたくても進めない。
立ち止まる人。
前のランナーにつまずいて転ぶ人。
焦りから声を荒げる人までいた。
「これが北海道マラソンなのか…」
そんなことを考えている余裕もなかった。
頭の中は、ただ一つ。
5km関門。
スタートしてまだ1kmにも満たないというのに、時計だけがどんどん進んでいく。
当時の北海道マラソンは、最初の5km関門が29分。
号砲からの時間で管理されていたため、最後尾からスタートした私には決して余裕があるとは言えなかった。
「このままでは、本当に最初の関門で終わってしまう。」
ようやく公園を抜けて一般道へ出た瞬間だった。
それまで歩くような速度だった集団が、一斉に加速した。
まるで堰を切ったように、何千人ものランナーが一気に走り出す。
私もその流れに乗った。
心拍数は一気に上がり、まるで10kmレースのスタート直後のようだった。
本来ならフルマラソンでこんな走り方をするはずがない。
でも、この時だけは違った。
まずは関門を突破すること。
それしか頭になかった。
ようやく5km地点が見えてきた。
「間に合った。」
その瞬間、肩の力が一気に抜けた。
周りのランナーたちも同じだったのだろう。
さっきまで必死に飛ばしていた集団が、まるで打ち合わせでもしたかのように一斉にペースを落とした。
私も深呼吸をひとつして、自分のリズムを取り戻す。
ここからは、無理をしない。
キロ5分前後。
今日の自分が最後まで走れるペースを刻もう。
平岸街道へ出ると、沿道にはたくさんの声援が続いていた。
その声援を受けながら、私はようやく落ち着きを取り戻していく。
北海道マラソンは、ここからが本当のスタートだった。


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