30歳を過ぎて決意したダイエットがジョギングになり、そのままフルマラソンでサブ4を達成するまでの回顧録です。
5kmの関門を越えると、ようやく周りも落ち着き始めた。
ここからは、自分のペースを守るだけ。
これまで何度もオーバーペースで失敗してきた私は、この日だけは違った。
キロ5分前後。
時計を確認しながら、淡々とリズムを刻んでいく。
平岸街道からすすきの、駅前通、そして三越前を右折して創成川通へ。
北海道マラソンならではの市街地コースには、大勢の観客が詰めかけていた。
15kmを過ぎても、まだ余裕がある。
「今日は最後まで走れるかもしれない。」
そんな気持ちが、少しずつ芽生え始めていた。
対向車線には、すでにトップランナーたちが戻ってくる。
その中でも、一際大きな歓声が聞こえた。
「あっ、千葉ちゃんだ。」
テレビで見ていたトップランナーが、目の前を駆け抜けていく。
その力強く、美しいフォームに思わず見とれてしまった。
同じ大会を走っている。
それだけで、少し誇らしい気持ちになった。
20kmを過ぎても、ペースはほとんど変わらない。
これまでのフルマラソンなら、とっくに苦しくなっていた頃だ。
「今日は違う。」
そんな手応えが確かにあった。
新川通へ入ると、景色は一変する。
建物も少なく、風を遮るものもない。
それでも私は落ち着いて給水を取り、持参していたアミノ酸サプリも補給した。
30kmが近づいても、まだ歩く気配はない。
ここまで順調に走れたフルマラソンは初めてだった。
「このまま行ける。」
そう思い始めた、その頃だった。
少しずつ足が重くなり始めた。
今まで感じなかった疲労が、静かに姿を現し始めていた。


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