トライアスロンには、短い距離のショートタイプがある。
いわゆる51.5kmの大会だ。
一方、ロングトライアスロンになると、誰でも簡単に申し込めるというわけではない。
大会によっては、過去の大会を完走した経験や、水泳の実績を証明する書類などが必要になる。
参加者が多ければ、抽選や過去の成績による選考が行われることもある。
当時のオロロンライントライアスロン国際大会では、病院の健康診断書と「負荷心電図」が必要だった。
健康診断は分かる。
しかし、
「負荷心電図」
という言葉は、初めて聞いた。
何をする検査なのかも分からない。
近くの診療所やクリニックに聞いてみたが、やっているところが見つからない。
そこで、大会事務局に聞いてみた。
すると、
「大会に出場する医師がやっているクリニックがありますよ」
とのこと。
それなら話が早い。
そこへ連絡して、検査を受けることになった。
一通りの健康診断を受けたあと、いよいよ負荷心電図。
名前の通り、身体に負荷をかけた状態で心電図を取る検査だった。
私の場合は、エアロバイクをある程度の力で漕ぎ続け、その後に心電図を取った。
自転車の練習をしている私にとって、エアロバイクを漕ぐこと自体は、それほどの負荷ではない。
ただ、
「これで本当に大丈夫なのか?」
という気持ちはあった。
検査が終わり、医師の診察を受けた。
すると、トライアスリートでもある先生から、
「素晴らしい心臓だ!」
という、なんとも分かりにくい褒め言葉をいただいた。
どうやら問題はなかったらしい。
それどころか、太鼓判まで押してもらった。
考えてみれば、その年は毎週のように早朝から夕方まで、鉄人たちについて練習していた。
泳いで、自転車に乗って、長い距離を走る。
そんなことを繰り返しているうちに、知らない間に身体は少しずつアスリートらしくなっていたのかもしれない。
「なるほど。知らないうちに心臓まで鍛えられていたのか」
妙に感心した。
これで必要な書類は揃った。
あとは大会に出るだけだ。
……とはいえ、問題はまだまだ残っていた。
何しろ私は、それまで参加したトライアスロン大会を、すべてプールで経験していた。
海で泳ぐ大会は初めて。
ショートタイプの大会に出た経験もない。
それなのに、次に出るのはロングトライアスロンだった。
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