トライアスロンへの道 第19話 負荷心電図

トライアスロンへの道

トライアスロンには、短い距離のショートタイプがある。

いわゆる51.5kmの大会だ。

一方、ロングトライアスロンになると、誰でも簡単に申し込めるというわけではない。

大会によっては、過去の大会を完走した経験や、水泳の実績を証明する書類などが必要になる。

参加者が多ければ、抽選や過去の成績による選考が行われることもある。

当時のオロロンライントライアスロン国際大会では、病院の健康診断書と「負荷心電図」が必要だった。

健康診断は分かる。

しかし、

「負荷心電図」

という言葉は、初めて聞いた。

何をする検査なのかも分からない。

近くの診療所やクリニックに聞いてみたが、やっているところが見つからない。

そこで、大会事務局に聞いてみた。

すると、

「大会に出場する医師がやっているクリニックがありますよ」

とのこと。

それなら話が早い。

そこへ連絡して、検査を受けることになった。

一通りの健康診断を受けたあと、いよいよ負荷心電図。

名前の通り、身体に負荷をかけた状態で心電図を取る検査だった。

私の場合は、エアロバイクをある程度の力で漕ぎ続け、その後に心電図を取った。

自転車の練習をしている私にとって、エアロバイクを漕ぐこと自体は、それほどの負荷ではない。

ただ、

「これで本当に大丈夫なのか?」

という気持ちはあった。

検査が終わり、医師の診察を受けた。

すると、トライアスリートでもある先生から、

「素晴らしい心臓だ!」

という、なんとも分かりにくい褒め言葉をいただいた。

どうやら問題はなかったらしい。

それどころか、太鼓判まで押してもらった。

考えてみれば、その年は毎週のように早朝から夕方まで、鉄人たちについて練習していた。

泳いで、自転車に乗って、長い距離を走る。

そんなことを繰り返しているうちに、知らない間に身体は少しずつアスリートらしくなっていたのかもしれない。

「なるほど。知らないうちに心臓まで鍛えられていたのか」

妙に感心した。

これで必要な書類は揃った。

あとは大会に出るだけだ。

……とはいえ、問題はまだまだ残っていた。

何しろ私は、それまで参加したトライアスロン大会を、すべてプールで経験していた。

海で泳ぐ大会は初めて。

ショートタイプの大会に出た経験もない。

それなのに、次に出るのはロングトライアスロンだった。

コメント