トライアスロンへの道 第20話 いよいよ大会間近

トライアスロンへの道

今まで参加したトライアスロンは、すべてプールを使った大会だった。

ところが、今度は海で泳ぐ。

しかも、ショートタイプの大会に出た経験すらない。

マラソンに例えるなら、10kmを完走したばかりの人が、いきなり100kmのウルトラマラソンに出るようなものだ。

今考えると、かなり無謀だったと思う。

ただ、当時の北海道で海で開催されるトライアスロン大会は、このオロロンライン国際トライアスロン大会しか知らなかった。

わざわざ飛行機に乗って、他県の大会に出るほどの予算も時間もない。

そう考えると、当時の私には、

「244kmのトライアスロンに出る」

という選択肢しか残っていなかったのかもしれない。

参加に必要な書類は揃った。

身体の検査も終わった。

練習も、それなりにやった。

……それなりに、である。

しかし、大会前になると、次々と不安が出てきた。

先輩たちから聞く話は、驚くというより、

「本当かなぁ?」

と思うものも多かった。

そもそも、海で泳ぐ大会が初めて。

ウェットスーツを着て泳ぐ。

そして、そのウェットスーツを脱いでバイクに乗り換える。

これも初めて。

バイクは約200km。

その間の給水や補給も、どうするのかよく分からない。

先輩たちからは、

「給水所でボトルごと交換するから、自分でボトルを持って走らなくてもいい」

と教えてもらった。

なるほど。

そういう仕組みなのか。

しかし、先輩たちはさらに、

「200km、基本的には自転車から降りないで補給する」

と言う。

本当なのだろうか。

200kmも自転車から降りずに走る?

その間に食べたり飲んだりする?

私には想像もつかなかった。

まあ、先頭になることは一瞬たりともない。

おそらく私は最後の方を走ることになる。

だったら、周りの選手を見ながら、同じようにやればいい。

そう考えるしかなかった。

そもそも、今まで経験したことのない距離である。

完走できるかどうかだって、半々くらいの気持ちだった。

だから大会一週間前からは、ほとんど練習をしなかった。

今さら慌てて練習しても仕方がない。

それよりも、風邪をひいたり、体調を崩したりしないことの方が大事だ。

食事をして、睡眠を取る。

身体の調子を整える。

そして、静かに大会の日を待った。

泳げなかった男が、泳げるようになった。

ロードバイクにも乗れるようになった。

200km近い距離も走った。

それでも、最後まで、

「本当にこれで大丈夫なのだろうか」

という気持ちは消えなかった。

そしてついに――

オロロンライン国際トライアスロン大会が、開幕の時を迎えようとしていた。

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