54歳で12時間11分完走したGarminデータ公開
前半を抑えられる人だけが100kmを走り切れる
サロマ湖17回出場・15回完走のサロマンブルーが
科学的根拠とリアルデータで完走戦略を解説
サロマ湖100kmウルトラマラソンまであと2週間。この時期になると、こんな悩みが頭をよぎりはじめる。
- どのペースで入るべきか
- 周囲についていっていいのか
- 前半で貯金を作るべきか
- 心拍数はどのくらいを目安にすればいいのか
私はサロマ湖を17回走り、15回完走しました。そして54歳の時、12時間11分19秒で完走したレースがあります。そのレースのGarminデータを見返していて、改めて確信しました。
サロマ100kmで一番重要なのは
前半40kmを我慢できるかどうかだ。
まず、2023年サロマ湖の私の前半ラップデータを見てほしい。フルマラソンサブ4レベルの走力があれば、キロ6分30秒は「かなり楽なペース」のはず。それでも私はあえてキロ7分前後で走り続けた。
| 距離 | ラップペース | 平均心拍 | 状態 |
|---|---|---|---|
| 1km | 7:11 | 112 bpm | スタート直後、意識的にスロー |
| 10km | 6:37 | 111 bpm | 完全リラックス・体脂肪燃焼モード |
| 20km | 6:28 | 116 bpm | 心拍110台を完璧に維持 |
| 30km | 6:49 | 118 bpm | まだ糖質を無駄遣いしていない |
| 40km | 7:31 | 115 bpm | ★ 40km走っても心拍115 |
普通に考えると異常なデータだ。40km走っても心拍数が115前後というのは、完全に「余裕がある状態」を維持し続けているということを意味する。なぜこんなことが可能だったのか。答えは「前半のペースを徹底的に抑えたから」に尽きる。
⚠️ 前半を飛ばすと細胞レベルで何が起きるか
心拍数が一定ラインを超えた瞬間、身体は「急いでいる」と判断し、無限の体脂肪燃焼をピタッと止めて、わずか1,500〜2,000kcalしかない糖質(ミニタンク)を急激に使い始める。前半をキロ6分で走ったランナーは、科学的に50〜60km地点で糖質が底をつき、足が全く動かなくなってリタイアが頭にチラつく。
ペース配分の失敗は補給でカバーできない。エイドでどれだけ食べても、糖質の消費スピードには追いつけないからだ。唯一の対策は「最初から使わないこと」だけだ。
前半を抑え続けた結果、後半のデータを見てほしい。これが「エネルギーの貯金」が残っている状態の証明だ。
| 距離 | ラップペース | 平均心拍 | 状態 |
|---|---|---|---|
| 70km | 7:52 | 114 bpm | 足はガチガチだが、心肺は余裕あり |
| 80km | 6:45 | 116 bpm | ★ 痛みを気合いで押し戻し加速 |
| 90km | 7:04 | 112 bpm | 驚異の心拍112。貯金が残っている証拠 |
| 96km | 6:50 | 115 bpm | ラスト4kmで最後のスパート |
| 100km | 6:42 | 116 bpm | ★★ 100km走って最速ラップでゴール |
100km走り切った最終盤に、スタート直後と全く同じキロ6分40秒台でフィニッシュしている。なぜこんなことができたのか。答えは単純だ。
前半で使わなかったから
後半に残っていた
ペース・心拍の推移グラフ(2023年サロマ湖 全102km)
ここまで読んでくれた人には正直に言う。前半を完璧に低心拍で走っても、70kmを過ぎてどこも痛くない人間など、この地球上に一人も存在しない。
世界王者のエリートランナーだって激痛と闘っている。70kmを過ぎれば、全員が等しく、足が引きちぎれるような激痛の中に放り込まれる。ここから先は科学の領域を超える。
「痛いから休む」のではない。
「痛いけれど、一歩前に足を出す」。
この苦行を最後のゴールまで続けられた人だけが、ワッカ原生花園をクリアして栄光のフィニッシュゲートをくぐることができる。
— ただしその「気合い」を発揮するためのエネルギーは、前半の我慢によってのみ蓄えられる


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