オープンウォータースイミング マラソンスイミングと呼ばれる競技

Sports Encyclopedia · Water Sports 003

オープンウォータースイミングOpen Water Swimming

海・川・湖といった自然の水の中で行われる長距離水泳競技。略称OWS。オリンピックでは10km種目のみが「マラソンスイミング」として実施され、約2時間の激走ならぬ激泳が繰り広げられる。「速いだけでは勝てない」駆け引きの競技に、南出大伸・蝦名愛梨ら日本代表が挑む。

10km
五輪実施
距離
2008
五輪採用
(北京)
約2h
10km完泳
目安タイム
8位
日本men
最高順位(2016)
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基本データ BASIC DATA
分類
水泳 / オープンウォータースイミング(自然水域競技)略称:OWS
会場
海・川・湖・池など自然の水域。周回コースをブイで区切って設定し、水温・流れ・波などの自然条件が競技に影響する
泳法
すべて自由形(フリースタイル)で実施。プールの競泳と異なり泳法の制限はクロールのみ
距離
個人種目は5km・10km・25km。混合リレーは4×1.5km(男子2名+女子2名)
五輪種目
五輪では10kmのみ実施され「マラソンスイミング」と呼ばれる。完泳の目安は陸上マラソンに近い約2時間
装備
承認済みの水着・ゴーグル・キャップ(最大2枚)・ノーズクリップ・耳栓を使用可。水温規定によりウェットスーツ着用の可否が決まる。フィンや浮力補助具は使用不可
統括団体
World Aquatics(旧FINA、国際水泳連盟)/日本:公益財団法人 日本水泳連盟(JASF)
五輪採用
2008年北京大会から男女10kmが正式種目化。世界選手権は1991年から実施
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種目構成 EVENTS & DISTANCES
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5km
スプリント寄りの距離

OWSの中では短距離にあたり、スピードと位置取りの駆け引きが色濃く出る種目。世界選手権では男女ともに実施されるが、五輪種目には含まれない。

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10km(マラソンスイミング)
五輪唯一の実施距離

オリンピックで実施される唯一のOWS種目。完泳に約2時間を要し、陸上マラソンに近い過酷さから「マラソンスイミング」と呼ばれる。途中、給水も行われる。

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25km
世界選手権最長距離

世界選手権で実施される最長距離の種目。5時間前後を泳ぎ続ける持久力の極限を競う。市民マラソン大会でも人気の距離帯だが、10km以下に比べ開催数は少ない。

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混合リレー
4×1.5km・男女混合

男子2名・女子2名の計4名がそれぞれ1.5kmずつをリレー形式で泳ぐ種目。世界選手権・ワールドカップなどで実施され、チーム戦略が問われる。

競泳(プール)との違い
項目競泳(プール)オープンウォータースイミング
会場50m/25mプール海・川・湖などの自然水域
泳法自由形・背泳ぎ・平泳ぎ・バタフライ自由形(クロール)のみ
距離50m〜1500m5km〜25km
環境要因水温・流れは一定水温・波・流れ・視界が変動
戦術性ペース配分が中心集団の位置取り・接触・給水戦略も重要
🇫🇷
パリ2024——セーヌ川を舞台にした激泳 PARIS 2024
🌊 SEINE RIVER · マラソンスイミング

パリ中心部を流れるセーヌ川。1.67kmの周回コースを6周する過酷な戦い

パリ2024のマラソンスイミングはパリ中心部を流れるセーヌ川で開催され、1.67kmのコースを男女ともに6周して10kmを泳ぎきる形式で行われた。川特有の流れの変化(下る区間は加速し、遡る区間は減速する)への対応が勝敗を分ける鍵となった。

日本からは女子に蝦名愛梨、男子に南出大伸が出場。蝦名は終盤まで上位をキープし13位、南出は経験を生かした粘りを見せ15位でレースを終えた。2大会連続で東京五輪にも出場した南出は、「速いだけでは勝てない」戦術的な競技性がOWSの魅力だと語っている。

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注目の日本代表選手 JAPAN PLAYERS
南出 大伸(みなみで たいしん)
東京2020・パリ2024 男子10km 2大会連続出場

木下グループ所属。東京五輪では13位、パリ五輪では15位という結果に終わったが、2大会連続で日本男子代表を務める第一人者。競泳から主戦場をOWSに移した経緯を持ち、「速いだけでは勝てない」競技性に魅力を感じていると語る。

蝦名 愛梨(えびな あいり)
パリ2024 女子10km 13位

日本体育大学出身、自衛隊所属。パリ五輪では前半から積極的に攻める泳ぎを見せ、一時は3位に浮上する場面もあった。競泳でも代表選考会1500m自由形で優勝するなど実力を持つ「デュアル・スイマー」。

貴田 裕美(きだ ゆみ)
ロンドン2012 日本人女子初のOWS五輪代表

2012年ロンドン五輪で平井康翔とともに、日本人として初めてOWSでオリンピック代表に選出された先駆者。日本におけるOWS競技の五輪初出場を切り開いた。

日本代表チーム(男子)
リオ2016 男子10km 8位入賞

2016年リオデジャネイロ五輪で男子が8位入賞を果たし、女子も12位となるなど、選手強化が着実に実を結んだ大会。これは現時点で日本のOWS五輪最高順位の一つとされる。

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歴史の足跡 HISTORY
1980年代
海・川・湖などで各地でばらばらに行われていた長距離水泳大会に統一性を持たせようという機運がFINA(現World Aquatics)内で高まり、競技としてのルール整備が始まった。
1991年
FINAによるルール整備を経て世界選手権が初めて開催され、OWS競技として国際的に確立した。
1996年(日本)
福岡市で「福岡国際オープンウォータースイミング競技大会」が開催され、日本における本格的な国内大会の先駆けとなった。
1998年(日本)
世界選手権に日本人選手が初出場し、男子10位という結果を残した。
2008年
北京五輪でOWSが正式種目として初めて採用され、男女10kmが「マラソンスイミング」の名称でオリンピックプログラム入りした。
2012年(日本)
ロンドン五輪で貴田裕美・平井康翔が日本人として初めてOWSの五輪代表に選出され、男子15位・女子13位という初出場での結果を残した。
2016年(日本)
リオデジャネイロ五輪で男子が8位入賞、女子が12位と、日本のOWS強化が着実に実を結んだ大会となった。
2021年(日本)
東京五輪(開催は2021年)で南出大伸が男子10kmに出場し13位。地元開催での経験がその後の飛躍につながった。
2024年(日本)
パリ五輪ではセーヌ川を舞台にマラソンスイミングが実施され、蝦名愛梨が女子13位、南出大伸が男子15位で完泳。南出は2大会連続の五輪出場となった。