30歳を過ぎて決意したダイエットがジョギングになり、そのままフルマラソンでサブ4を達成するまでの回顧録です。
冬を迎えると、私のランニングは完全に止まった。
雪国の北海道では、当時の私は
「冬は走れないもの」
と半ば諦めていた。
それでも年が明ける頃には、体を動かしたい気持ちがどんどん強くなっていく。
「何とか雪の中でも走れないだろうか。」
そんなことばかり考えていた。
そして2月。
とうとう我慢できなくなった私は、雪の中を走ることを決意した。
玄関で靴を見ながら真剣に悩む。
「長靴で走るか……。」
「いや、それはさすがに変か。」
結局、いつもの運動靴を履き、厚着をして外へ飛び出した。
今思えば、かなり無謀だった。
家の近所は除雪されていたので、意外と走れる。
「これなら大丈夫かもしれない。」
ところが住宅街を抜けると景色は一変した。
雪は深く、踏み固められていない。
一歩踏み出すたびに、
ザクッ。
ギュッ。
静かな雪道には、自分の足音だけが響いていた。
走るというより、雪をかき分けながら進んでいるような感覚だった。
しばらくすると、足の感覚がなくなってきた。
冷たいというより、もう何も感じない。
それでも引き返すという発想はなかった。
「ここまで来たら、いつもの5kmコースを走り切ろう。」
そんなことばかり考えていた。
何度も心が折れそうになりながら、ようやく家へ戻った。
しかし私は、すぐにお風呂へ飛び込むことはしなかった。
高校生の頃、冬にバス停まで走って耳を凍傷にしたことがあったからだ。
急に温めると痛みがひどくなる。
その経験だけは覚えていた。
だから足も少しずつ時間をかけて温め、その日は静かに眠った。
翌朝。
思ったほど痛みはない。
「意外と大丈夫なんだ。」
そう思ってしまった。
そして2日後、また雪の中を走った。
ところが今度は違った。
足の状態は明らかに悪化していた。
結局、その年の2月は、それ以上走ることができなかった。
今なら原因は分かる。
シューズも装備も、走る環境も何も整っていなかった。
知識も経験もないまま、勢いだけで雪へ飛び込んだのだ。
甘かった。


コメント