近代五種とは?畑違いの5種目ルールと佐藤大宗が112年ぶりに挑んだ五輪銀の軌跡

Sports Encyclopedia · 近代五種

近代五種Modern Pentathlon

フェンシング・水泳・馬術・射撃・ランニングという畑違いの5種目を1日でこなし、総合力を競う複合競技。近代オリンピックの父クーベルタン男爵が自ら考案した由緒ある種目で、2024年パリ大会では佐藤大宗が112年の五輪史上、日本人として初めてのメダル(銀)を獲得した。

5種目
フェンシング・水泳
馬術・射撃・走
1912
ストックホルム
大会から実施
🥈
佐藤大宗
日本人史上初メダル
2028
馬術→
オブスタクルへ
📋
基本データ BASIC DATA
トライアスロンと同じく複数の異なる種目を組み合わせて総合力を競う「複合系」の競技に分類される。水泳・自転車・ランという近い性質の種目で構成されるトライアスロンに対し、近代五種はフェンシング・水泳・馬術・射撃・ランニングとより畑違いの種目を横断する点が最大の特徴である。
分類
アウトドア系(複数種目の総合成績で競う複合競技)英名:Modern Pentathlon
基本ルール
フェンシング・水泳・馬術・レーザーラン(射撃とランニングを統合した最終種目)の順で1日のうちに全種目を実施。各種目の成績を得点に換算し、合計点(実質的には最終種目のタイム差)で順位を決定する
主な形式
かつては数日間かけて行われたが現在は1日完結。射撃とランニングはレーザーランとして統合され、射撃と走行を交互に繰り返す
統括団体
国際近代五種連合(UIPM)が国際ルールを制定/日本:日本近代五種協会(国内競技者は約50人)
五輪との関わり
1912年ストックホルム大会から実施されている、近代オリンピックの父クーベルタン男爵自身が考案した伝統種目。2028年ロサンゼルス大会からは馬術に代わりオブスタクルスポーツ(障害物走)が採用される
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競技種目とルール DISCIPLINES & RULES
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フェンシング(エペ)
総当たり戦形式

出場選手全員との1本勝負を総当たりで行い、勝敗数を得点に換算する。5種目の中でも駆け引きと精神力が問われる種目。

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水泳(200m自由形)
タイムを得点に換算

200メートル自由形のタイムを計測し、基準タイムとの差を得点に換算するシンプルな種目。

🎯
馬術 → オブスタクル
2024年大会を最後に種目変更へ

くじ引きで割り当てられた見知らぬ馬に乗り障害物を飛び越える種目だったが、動物福祉への配慮から、2028年ロサンゼルス大会より障害物を乗り越える「オブスタクル」種目に置き換えられる。

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レーザーラン
射撃とランニングを交互に行う最終種目

レーザー式の拳銃で標的を射抜いたのち一定距離を走る、を複数回繰り返す最終種目。それまでの得点差がスタートタイミングのハンデとなり、ゴール順がそのまま最終順位になる。

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佐藤大宗——112年の歴史を動かした自衛官の銀メダル SATO TAISHU
🥈 パリ2024 男子近代五種 銀メダル(日本人史上初のメダル・入賞)

少林寺拳法と競泳、そして海上自衛隊で磨いた「畑違い」の総合力

青森県出身の佐藤大宗は、少年時代に少林寺拳法で県大会優勝を経験し、青森山田高校では競泳部に所属。高校卒業後は水泳を活かせる仕事を求めて海上自衛隊に入隊したところ、教官にスカウトされ近代五種を始めるという異色の経歴を持つ。国内の競技者がわずか50人という環境の中、2023年ワールドカップで日本勢初のメダル(銀)を獲得し、世界に名乗りを上げた。

迎えた2024年パリ五輪が自身初のオリンピック。馬術2位、フェンシング1勝1敗、水泳12位で3種目終了時点は4位につけ、最終種目のレーザーランで正確な射撃と安定した走りを見せて2位でフィニッシュ。総合1542点で銀メダルを獲得した。近代五種が五輪種目となって112年、日本勢にとってメダルはおろか入賞さえも史上初となる快挙で、地元・青森市はこの功績に市民栄誉賞を贈った。

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近代五種を彩る顔ぶれ KEY FIGURES
佐藤 大宗(さとう たいしゅう)
パリ2024 銀メダル(日本人史上初)

海上自衛隊体育学校所属。112年の五輪近代五種史上、日本人選手として初めてメダル・入賞を果たした歴史的な選手。

アハマド・エルジョンディー(エジプト)
パリ2024 金メダル(1555点で世界最高得点)

東京2020大会の銀メダリスト。パリ2024では世界記録となる1555点をマークし、佐藤を上回って金メダルを獲得した。

ピエール・ド・クーベルタン男爵
近代五種の考案者/近代オリンピックの父

19世紀の騎兵将校が敵地を単騎で駆け抜ける想定を競技化し、1912年ストックホルム大会での実施につなげた。

オブスタクルスポーツ
2028年ロサンゼルス大会より新種目として採用

馬術に代わって導入される障害物走種目。動物福祉への配慮から生まれた変革で、競技の姿を大きく変えようとしている。

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歴史の足跡 HISTORY
1912年
ストックホルム大会で正式種目として初採用。近代オリンピックの父クーベルタン男爵が、19世紀の騎兵将校が敵地を単騎で駆け抜ける想定(馬術・剣・拳銃・水泳・走)をもとに考案した。
20世紀前半
長らく数日間かけて行われる過酷な競技だったが、時代とともに大会日程の短縮が進んでいった。
2009年
射撃とランニングが「レーザーラン」として統合され、競技のスピード感が増した。
2012年
拳銃が空気式からレーザー式へ変更され、安全性の向上と運営の簡素化が図られた。
2021年
東京五輪の馬術種目で、指定馬に乗ったドイツの選手をめぐりコーチが馬を殴打する事件が発生し、世界的な批判を招いた。
2022年
国際近代五種連合(UIPM)が馬術を廃止し、新種目「オブスタクル」を導入する方針を決定した。
2023年(日本)
佐藤大宗がワールドカップで銀メダルを獲得。日本勢として国際大会で初のメダルとなった。
2024年(日本)
パリ五輪で佐藤大宗が銀メダルを獲得。112年に及ぶ五輪近代五種の歴史で、日本人選手として初めてのメダル・入賞という快挙を成し遂げた。
2028年(予定)
ロサンゼルス大会から馬術に代わり、オブスタクルスポーツ(障害物走)が正式種目として採用される予定。